「自分の医院を持ちたい」と思った時、「新規開業にするのか、継承開業にするのか」という問題に必ず直面します。それぞれの開業形態にはメリットがあれば、デメリットも。今回は新規開業のメリット、デメリットをまとめて紹介。どんな人が新規開業に向いているのか、新規開業はどのような手順を踏むべきなのかも解説します。
新規開業のメリット
継承開業と比べて、新規開業にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 下記にて詳しく各項目ごとに解説しています。
全てゼロベースで設計できる
医院名、コンセプトはもちろん、内装、診療導線、ITシステム、スタッフなど全てゼロベースで設計できるので、自分が理想とするクリニックを作り上げることができます。そのため、競合と差別化したり、ブランドの構築を比較的短期間で進めることが可能です。
院長が決めるべき項目の一例
- 診療圏
- 人材
- 卸業車
- 電子カルテをはじめとした医療機器・システム
- 外装や内装
エリアを自由に選定できる
出院エリアも、新規開業にとっては重要なポイント。調査エリアにおいて来院が期待できる患者数や競合状況を統計データに基づいて予測・調査する手法「診療件分析」などで、クリニック需要が高い地域を割り出すなどして、もしも需要が見込めるエリアを特定、出院できる場合は、開業初期から集患を加速することができます。
そのほか、エリアによっては駐車場を用意できるのか、どこに看板を設置するのか、クリニックへの導線はどのようにつくるのかなども大切になってきます。
新規開業のデメリット
新規開業にもメリットもあれば、継承開業に比べてデメリットもあります。リスクなども考慮した上で、新規開業にするのか、継承開業にするのか検討することをお勧めします。
初期費用が高額になりやすい
ゼロベースから行うので、物件の契約料や賃料、内外装費、医療機器の導入、スタッフ採用費用、広告宣伝費など、全て自己負担しなければいけません。
患者数が定着するまで時間がかかる
新規開業だと、認知度もゼロからスタートなので、はじめは集患に苦労します。一般的に患者が定着し、黒字化するまでには数ヶ月から数年単位で赤字経営を覚悟しなければいけないとされています。
最初の診療報酬が入金されるまでのラグがある
レセプト請求から実際に入金されるまでには少なくとも2ヶ月程度かかってしまいます。そのため、その間は収入がない見通しで、運転資金を用意しておく必要があります。
新規開業に向いている医師
継承開業よりも新規開業に向いている医師はどのような人なのかまとめました。
- 自分の理念や治療方針を100%反映したい人
- 立地やターゲットに強いこだわりがある人
- 最新の医療機器を自由に導入したい人
- 資金力がある人
- リスク許容度が高い人
クリニック開業のための手順
クリニックを新規開業するまでの手順をまとめました。
①クリニックの方針決定
どんなクリニックにしたいのか明確にしましょう。どんな医療を提供したいのか、どんな人に利用してほしいのかなどをできるだけ詳しく洗い出します。このときに、自分自身がどのように働きたいのか、ライフワークバランスも考えておくことをおすすめします。
②開業地の選定
開業希望エリアを選定します。新規開業の場合は、開院初期の集患力が低いので開業エリアと提供する医療サービスのニーズが合っているのかはとても重要。クリニックの方針に応じて、診療圏分析を行い、自分の作りたいクリニックが希望エリアに合っているのか、需要と供給がマッチしているエリアはどこなのか調査しましょう。
③事業計画作成
事業計画書は、はじめに決めた「医院方針」のほか「資金計画」「収支計画」の3つを軸に作成します。事業計画は、金融機関からの融資を獲得するだけでなく、保健所、厚生局への申請にも使用します。何より、自身が医院経営を安定化させるためにも必要な資料になります。
④開業資金の調達
開業資金の調達には融資を受けることが一般的です。融資を受ける先は主に下記になります。融資条件やスケジュールの確認などはしっかりと行いましょう。
- 日本政策金融公庫
- 医師会・地方自治体の開業支援ローン
- 民間金融機関の開業支援ローン
⑤内外装の設計・施工
どんな内装、外装にするのか決めていきます。医院コンセプトを反映させてブランディングさせるのも大切ですが、診療導線などの実用性もしっかり考慮しなければいけません。
⑥求人募集
内外装の工期が決まり開院の目処がたった段階で、看護師や受付など医院運営に必要なスタッフを募集します。
⑦各種行政手続き
よくある質問
Q.開業のための事前準備はいつ頃からするべき?
A.クリニック方針などを考えたり、必要な情報を集める期間を含めると2〜3年をかけて準備する医師が多いです。ただし、仕事を継続しながら開業準備を進める場合、休日を使って申請や手続きを行わなければいけないため、あまり余裕はありません。
Q.クリニック方針はどのように考えればいいでしょうか?
「どんなクリニックにしたいのか」を経営理念に明示し、「その経営理念を実現するために、どのように行動するのか」を経営方針に記載しましょう。経営方針は理想だけでなく、現実可能かどうかという観点で検討する必要があります。

